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Dec 30, 2012

2012年のタブレットを冷静に振り返る

2012年のタブレットを冷静に振り返る (1/2)

iPad mini、Nexus 7、Surface、Kindle Fire HD……。刺激的な製品が多数投入された2012年のタブレット市場だが、業界全体のメガトレンドとしてはゆったりしたものだった。 [実は落ち着いた展開だったと言える2012年 「2011年のタブレット端末を冷静に振り返る」という前回の記事から、はや1年が過ぎていることに少しばかり驚きを感じている。最新のデジタル機器トレンドの最先端と思われがちなタブレットデバイスだが、2012年は比較的、平穏な年だったと思うからだ。

ついにMicrosoftもWindows 8/RTのリリースに合わせて、純正タブレット「Surface」を投入したが……(日本では未発売) 「いやいや、Windows 8/RTタブレットだって発売されたし、Nexus 7はワールドワイドで月100万台の売り上げを出してiPadファミリーに次ぐ勢力を着々と作ってるじゃない」と反論されそうだが、個々のソリューションとしてはよい製品、興味深い製品が登場した。そうした意味では、とても刺激的な1年だったが、業界全体のメガトレンドとしてはゆったりとしたものだった、と感じている。

 2011年には、ソニーが「Sony Tablet」を立ち上げ、独自のクラウド型サービスとAndroidへの独自機能搭載によって、ブランド構築を狙うという(残念ながら、その成果は成功とは言いがたいものの)実に意欲的、挑戦的なテーマがあった。「iPad」も伸び盛り(いや、2012年も一層伸びてはいるが)で、新しいアプリが次々に生まれ、いよいよ“パーソナルコンピューティング”という言葉の定義が変化するのだ、と肌で空気が変化するのを感じたものだ。

 その2011年に比べると、2012年はより落ち着いた展開だったように思う。“落ち着いた”との表現は、“何も起こらなかった”ということを意味しているわけではない。前述したように興味深い製品は数多く出ていた。

 しかし、プラットフォーム全体に大きな波風は立たず、粛々と各メーカーがこれから爆発するだろうタブレット市場への取り組みを決め、将来の大きな市場に向けた準備を進めた年だったと言える。

2012年も主役はiPad、今後の鍵を握るAndroid 2012年もタブレット市場をリードしたiPadファミリー。10月には7.9型の「iPad mini」も登場し、ラインアップを7型クラスまで拡充してきた 北米を中心に、コンシューマーPC市場を浸食しているタブレット市場だが、世界のタブレット市場をリードしている米国では、多くがiPadファミリーと言われる。App Storeで販売されるタブレットに最適化されたアプリが充実しているだけでなく、関連するさまざまな周辺機器や連携製品なども合わせ、新しいビジネス基盤として認知されつつある。

 とはいえ、タブレット市場は10月にiPadが累計1億台の販売達成を発表。2012年通期の出荷台数は全タブレット合計で約1億2000万台程度と見積もられている。Windows PCの稼働台数は全世界で10億台と言われており、年間の出荷台数は3億5000万台程度というのが相場なので、PCに比べればタブレット市場の規模はまだ小さい。言い換えると、まだまだ伸びる余地がある有望市場ということだ。

 AppleのCEOを務めるティム・クック氏は「2013年に1億台のiPadを販売する」と話しているが、ディスプレイパネルの供給状況次第ではその予想を上回る可能性もある。さらに2013年はAndroid、Windowsのタブレットも増加が見込まれる。

Androidタブレットはスマートフォン同様、今後のシェア拡大が見込まれる。写真は上から、4.7型スマートフォンの「Nexus 4」、7型タブレットの「Nexus 7」、10型タブレットの「Nexus 10」(Nexus 4は日本で未発売) Androidはタブレットの普及にともない、スマートフォンでの展開と同じように、低価格製品を中心として台数シェアを伸ばしていく展開になるだろう。高付加価値市場での競争も激しくなる。また、Windows 8/RTタブレットは企業向けを中心にシェアを徐々に増やしていくことも予想される展開だ。通期ではiPadのシェアが40%、あるいはそれ以下になる可能性もある。

 仮にiPadファミリーの市場占有を40%とするならば、2013年は2億5000万台市場になる(実際には液晶パネルの供給に問題が発生するかもしれない)が、米調査会社のIDCは、2013年のタブレット市場を1億7240万台と見積もっている。Appleの1億台販売計画が過剰な見積もりと考えるならば、2億台とするのが妥当なところだろうか。

 とはいえ、タブレット市場の伸び方はスマートフォンのときと同じく、あまりに急峻(きゅうしゅん)なため、予測値の上方修正が相次いでおり、2億5000万という数字も(生産キャパシティがあるならば)非現実的とは言えないだろう。この数字がどこまで行くか、その行方の鍵を握っているのはAppleではなく、Googleだと筆者は考えている。

 価格競争、シェア競争の中で出荷台数が伸びていくには、メーカー間の競争や、携帯電話事業者をはじめとする通信事業者との協業が必要だと思うからだ。この点、同じプラットフォーム上で複数メーカーが共存しているほうが(メーカーとしての利益は出にくいが)、普及期には台数が伸びていく。

 GoogleがGoogle Playのアプリ、コンテンツサービスの洗練度に磨きをかけることができたならば、数年後には現在のスマートフォン市場と同じような基本ソフトのシェアミックスになると思う。


伸びてはいても一大変化という感じでないのは確か。

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Dec 24, 2012

スマートフォン「5G」時代がやってくる

スマートフォン「5G」時代がやってくる

スマートフォンの次の課題はネットワークの「5G」化だ。10Gbpsもの通信速度が期待され、企業や大学の研究開発が急ピッチで進んでいる。標準化、実用化は進むのか。 [Vince Font,TechTarget]

 通信速度がどれほど高速になろうとも、常にその先があるものだ。通信ネットワークの高速化に取り組んでいる人々もその点は抜かりなく、既に次の“大物”に向けた作業に取り掛かっているようだ。大多数のユーザーが4Gや4G LTEによるスマートフォン通信の恩恵をまだ受けている中、あるいは旧世代の3G機種を下取りに出して時代の流れに追い付こうとしている中にあって、既に「5G」という言葉が浮上しつつある。

関連する記事iPhone 5のネットワーク機能進化で、IT部門は困る?
iPhone 5のWi-Fiとどう違う? ギガビット無線LAN「802.11ac」のすごさ
タブレットが食い尽くす無線LAN帯域、原因と解決策は?


 これは朗報だ。だが手放しで喜べるわけではない。この技術が登場するのはかなり先のことだ。何年も先なのである。英サリー大学付属Centre for Communication Systems Research(CCSR)のディレクターでモバイル無線通信を専門とするラヒム・タフォゾリ教授によると、「5Gが出てくるまで待つ」というのであれば、相当長い間待たなくてはならないという。「技術的な制約や、既存の4Gネットワークを運用するための電力コストが非常に高いことなど、通信速度のさらなる高速化に向けては数多くの障害が存在する。5Gが普及するのは2020年以降になるだろう」とタフォゾリ氏は語る。

 携帯端末の進歩のペースを考えれば、8年というのは非常に長い時間だ。8年前の2004年のベストセラー携帯電話は、初代の「Motorola RAZR」と「Nokia 2600」だった。だが現実には、2020年は目前に迫っており、タフォゾリ氏の研究チームには巨額の資金援助が寄せられている。最近の発表によると、5600万米ドルに相当する巨額の援助が英国政府から同チームに提供される見込みだ。また、韓国Samsung、中国Huawei、英AIRCOM Internationalなど多数の企業が資金を提供している。

 同チームのミッションは、帯域利用効率と電力効率に優れ、10Gbpsの通信速度を提供するネットワークを開発することだ。


なぜ5Gの研究を急ぐのか? 超高速な4G LTE携帯電話に十分満足している人であれば、「なぜそんなに急ぐのか」と疑問に思うかもしれない。当然の疑問だが、その答えは「トラフィック」にある。全世界の人々が「Apple iPhone 5」や「Samsung Galaxy Note II」などの最新の高速スマートフォンを、われ先に手に入れようとしている。この状況を見れば、ネットワークがいずれ限界に達するのは明らかだ。これは次のような状況に例えることができるだろう。1日当たりの通勤者の数が10万人であれば、6車線の高速道路でも十分に余裕がある。しかしこの道路に何百万台もの車が押し寄せたら、深刻な渋滞が発生する(参考記事:スマートフォンの通信障害でも回線を止めない「無線LAN」の活用法)。

最近はあまりNEWSにならないが、ケータイの渋滞問題はまたクローズアップされそう。すかすか?な固定回線が余っているのだからそこにいかにトラフィックを逃がすかがこれからの技術の課題ではないのか??

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Dec 02, 2012

インターネットは「ワイン」であり、日本は「クレイジーな国」だった

インターネットは「ワイン」であり、日本は「クレイジーな国」だった


 11月19~22日にかけて開催されたイベント「Internet Week 2012」の中のテーマセッション「IP Meeting 2012~人のチカラ、インターネットのチカラ~」から、特に印象に残ったトピックを抜粋する。


 

11月19~22日にかけて、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)主催「Internet Week 2012」が開催された。Internet Weekとは、インターネットに関する技術の研究・開発・構築・運用・サービスに携わる人々が、最新動向を学び、議論し、理解と交流を深めるためのイベント。その中から、テーマセッション「IP Meeting 2012~人のチカラ、インターネットのチカラ~」をレポートする。このセッションでは、「通信業界の中と外からインターネットを眺める」というテーマでパネルディスカッションが行われた。パネリストは、業種も職種もさまざま。その中から印象に残ったトピックを抜粋する。

電話に未来はあるのか?

東日本電信電話 水越一郎氏

 1人目は、東日本電信電話 水越一郎氏。電話とインターネットの関係性とこれからの電話の存在について語った。

 現在の固定電話とインターネットのユーザー数を見てほしい。「固定電話からみたインターネットはうらやましい限りだ」と水越氏はいう。

固定電話とインターネットのユーザー数

 しかし、現在インターネット以上に伸びてきているのは、携帯電話市場である。グラフを見ると、ユーザー数が年々増加していることが分かる。同じ「電話」であっても、固定接続と移動体の接続を比べてみると、結果は明らかに違ってきていることが分かる。

携帯電話、IP電話を含むユーザー数

 これらのユーザー数の遷移などから、水越氏は「固定電話は衰退期」「インターネットは成熟期」「携帯電話は成長期」であると推測する。

鉄道業界から見た通信の世界

JR東日本メカトロニクス 櫻井浩氏

 2人目は、JR東日本メカトロニクス 櫻井浩氏。「鉄道業界から見た通信の世界」を述べた。

 鉄道と通信の共通点は、2つあるという。1つは、ネットワークを構築している点。もう1つは、社会インフラであることだと櫻井氏は話す。

 一方で大きく異なる点は、対象物、事業ポリシー、技術革新、市場の伸びの4つ。その中でも、特に「事業ポリシー」はまったく違うという。

鉄道と通信の比較

 鉄道は、第一に安全、言い換えれば「安全がすべて」といってもいい。鉄道業界では、「何かあったら止める」のが鉄則であり、車両の連結部が外れたなどの緊急時には一斉にブレーキがきくようになっているという。

 そのような業界から通信業界を見ていると、「あれだけ大きな変化がありながら、よく頑張っている」とは思うが、「うらやましくは思わない」というのが正直な気持ちだそうだ。鉄道業界のように、「安全が第一」である会社が通信業界のような取り組みは現実的にはできないと指摘した。

インターネットにはソムリエが必要

九州大学教授 実積寿也氏

 3人目は、九州大学教授 実積寿也氏。実積氏は、「インターネットとは、ワインと同じである」と主張する。どのような意味か。

 例えば、インターネットに「保証」は求められない。品質も保証してくれなければ、インターネットが壊れたからといって対応もしてくれない。もしこれが、インターネットではなく冷蔵庫のような「家電」だとしたらどうか。故障したら修理をしてくれるし、品質もある程度保証してくれる。「“インターネットは永遠のβ版”といわれるように、インターネットには“品質保証”という概念がない」と実積氏はいう。「ベストエフォート」というマジックワードで、守られているのだ。冷蔵庫には、「今日までは少ししか冷やせませんでしたが、明日からきちんと冷えるようになります!」という商品はありえないが、インターネットではそれが許される。

 このようなことを考えると、インターネットとは「真の品質を知るのは至難の業」であり、ユーザーの満足度はインターネット単独のものではなく「周辺環境に大きく依存する」といえる。そこで同氏は「インターネットには、ソムリエが必要なのではないか」と提案する。「インターネットはワインと同じである。例えば、1000円のワインと1万円のワインを見分けるのは難しい。というのも、ワインを味わうときには、外部要因が大きく関わってくるからだ。誰と食べているか、どこで飲んでるかといった情報が、非常に重要となる。だから、『ソムリエ』がいる。インターネットもワインと同じで、ソムリエが必要ではないか」(同氏)。

通信業界では固定電話の視点からみるとまだ携帯は成長ステージなのか・・・。

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